判例研究:エルメス「バーキン」の立体商標

2014521日に東京地方裁判所で商標権侵害行為差止等請求事件に判決が下されました。

 

原告:エルメス・アンテルナショナル

被告:株式会社DHS corp

主 文(主なもののみ抜粋)

1 被告は,別紙被告商品目録1ないし4記載の商品を輸入し,譲渡し,引き渡し,又は譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。

2 被告は,原告に対し,235万8400円及びこれに対する平成25年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 

商標:立体商標(上記写真のとおり)

指定商品:ハンドバッグ

登録日:201199

 

いわゆる「バーキン」と呼ばれるバックです。1984年に発売され、フランスの女優であるジェーン・バーキンが愛用したことから、この名称で呼ばれています。

 

被告は,平成23年ころから,韓国所在の「SUWA UNITED INC.」から『GINGERBAG(ジンジャーバッグ)』を輸入して,楽天市場におけるインターネットのウエブサイト上においてこれを販売していました。

 

裁判所は、両商標は外観が類似し、観念ないし称呼が生じないため、類似していると判示しました。

 

そして、192個の利益を658400円(原告請求額823000円)、

信用毀損を150万円(原告請求額200万円)、

弁護士費用を20万円(原告請求額100万円)として、

合計2358400円(原告請求額3823000円)

の支払いを命じました。

 

ハンドバックに関する知的財産権ですが、一般的には意匠権で保護を求めることが多いです。立体商標の取得は、著名性を証明する必要があり、登録されることが非常に難しいからです。

しかし、このハンドバックは意匠権ではなく商標権で権利取得しています。発売から20年以上経過しているので、既に公知のため意匠では登録できず、発売当時に意匠権を取っていたとしても、存続期間は満了しているからでしょう。

商標権は一度取得すると更新により半永久的に存続しますから、この商標権は非常に有効な権利だと思います。