指定商品・役務を決めましょう。

1. 商標とは、標章(文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音など)を業として商品または役務に使用するものをいいます(商標法2条1項)。

 

 つまり、お店などで目にする登録商標には、全ての商品や役務について権利があるのではなく、必ず使用される商標や役務が定められています。

 

2. 指定商品または指定役務は、その商標権の権利の範囲を定めるものです。

 商標権者が権利行使できる範囲は、指定商品または指定役務(商標法25条)指定商品または指定役務に類似する商品または役務(商標法37条)です。

 したがいまして、商標登録されても、指定商品または指定役務に類似しない商品または役務に権利行使することはできません。

 

3. 指定商品又は役務は、実際にご自身が使用するか、使用の意思がある商品又は役務を選びます(商標法3条1項柱書)。

 せっかく、商標が登録されても、継続して3年以上、指定商品又は役務について登録商標を使用しない場合は、その指定商品又は役務について登録商標が取消されてしまうことがあるからです(商標法50条1項)。

 

4. 実施する事業が決まりましたら、具体的な指定商品または役務を定めます。

 インターネットで特許電子図書館の「商品・役務リスト」を開きます。「商品・役務名」横の空欄に、実施する事業のキーワードを入力し、「検索実行」をクリックします。検索結果がでますので、「リスト表示」をクリックします。

 

 例えば、「商品・役務名」横の空欄に、「ハンバーガー」と入力して検索実行をクリックします。リスト表示をクリックすると、これまでに出願された「ハンバーガー」を含む指定商品が表示されます。

 

 出願人のお仕事がお店でハンバーガーを食べさせる場合の指定商品・役務は、

「ハンバーガーを主とする飲食物の提供」となります。

 出願人のお仕事がハンバーガーを持ち帰りさせる場合の指定商品・役務は、

「 ハンバーガー 」となります。

 出願人のお仕事がハンバーガーの材料を作る場合の指定商品・役務は、

「ハンバーガー用肉製品」となります。

 

「ハンバーガー」を扱うお仕事でも、その内容により指定商品・役務が異なるのです。

 

5. リストの右側に欄があり、数字が記載されています。

「ハンバーガー用肉製品」は29

「 ハンバーガー 」は30

「ハンバーガーを主とする飲食物の提供」は43です。

 

 この数字は区分と呼ばれ、この区分数に応じて特許庁への印紙代(費用)が定まります。

指定商品が1つの場合の印紙代は12,000円、2つの場合は20,600円、3つの場合は29,200円です(2019年1月1日時点)。

 

6. 商品・役務名リストの右端に「類似群コード」という欄があります。

「ハンバーガー用肉製品」は32F01

「 ハンバーガー 」は30A01

「ハンバーガーを主とする飲食物の提供」は42B01です。

 

 区分が異なっている商品・役務でも、この類似群コードが一致すると、審査では類似商品・役務とみなされます。

 

 また、願書に記載された1区分中の指定商品・役務が8以上の類似群コードに属した場合、実際に使用しているか、使用の意思があるのかが不明として拒絶理由が通知されます。

 

7. 日本では、多区分一出願制度が取られています。

 これは、一つ商標登録出願に対して、複数の区分に属する商品を指定できる制度です。