審決検討:「SHEET」(2013-054853)(商標法4条1項11号「結合商標」)

拒絶査定不服審判における審決を検討しましたので、ご紹介します。


【標準文字商標】 SHEET

【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】  

 9 カメラ,ビデオカメラ,デジタルカメラ,デジタルビデオカメラ,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,電気通信機械器具ならびにその部品及び附属品,電子計算機用プログラム,電子計算機,デジタル複写機,電子応用機械器具ならびにその部品及び附属品,家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物  


[拒絶査定の理由の抽出]

 他方、引用商標は、「SheetCE」の文字を書してなるところ、該商標中の「CE」の文字部分は、商品の規格等を表す記号、符号として一般に使用されているローマ文字2字の一類型と認識されるものであり、このことは、例えば、著名なMicrosoft社のPDA・組み込み機器向けリアルタイムOSソフトウェア「Windows CE」で広く一般の需要者に認識されているMicrosoft社「Windows」商品の規格等を表す記号のローマ文字2字「CE」のごとく認識されるものですから、該商標中の「Sheet」の文字部分は、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認められ、これより「敷布,シート」の観念及び「シート」の称呼をも生ずるものといわなければなりません。

 そうすると、本願及び引用商標は、「敷布,シート」の観念及び「シート」の称呼を共通にする類似の商標であり、本願及び引用商標の外観の差を考慮しても、出所混同のおそれがある類似の商標といわなければなりません。


 つまり、CE部分は、「Windows CE」が「Windows」商品の規格を表すように、「Sheet」の規格を表すから、「Sheet」部分のみで自他商品識別力を有するということです。審査官は、意見書に対して、「各商標は、個別具体的に審査されるので他の商標の登録例は考慮しない」と主張することが多いですが、この拒絶査定では、他の商標を引用している点、都合がいいと思いました。また、「SheetCE」には、スベースがある点で、「Windows CE」よりも、一体性があります。


[登録査定の抽出]

 引用商標は、前記2のとおり、「Sheet」の欧文字と「CE」の欧文字とを結合したものと看取されるものであるところ、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさ及び等間隔で外観上まとまりよく表されており、その構成文字全体より生ずる「シートシーイー」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

 そうすると、引用商標は、一般に欧文字2字が商品の品番等を表示するための記号、符号として使用されることがあるとしても、かかる構成においては、該「CE」の欧文字部分が商品の品番等を表示するための記号、符号として直ちに認識されるとはいい難く、また、殊更該欧文字部分を捨象し、その構成中の「Sheet」の欧文字部分のみをもって取引に資されるとみるべき特段の事情も見いだせない。

 してみれば、本願商標は、その構成全体をもって、特定の語義を有することのない一種の造語を表したものとして認識されるというのが相当であるから、その構成文字全体に相応する「シートシーイー」の称呼のみが生じ、特定の観念は生じないものである。


 つまり、引用商標「SheetCE」は、一種の造語だから「シートシーイー」の称呼のみが生じ、特定の観念は生じないため、「Sheet」とは非類似というものです。スペースがない点や、「つつみのおひなやっこ」判決の規範によれば、妥当な審決だと思いました。