審決検討:「Mynt Denim」(2012-099700)(4条1項11号,16号「結合商標」)

「Mynt Denim」のMとDが大文字でtとDの間に間隔があるから2語に認識できるので4条1項11号と16号に違反するとのことです。「本願商標を常に一体不可分のものとして看取しなければならない特別の理由も見出すことができません。」とのことですが、そのような理由は立証する必要はなく、逆に判例では、結合商標を分離する理由が求められています。


[拒絶査定の理由]

 本願商標は、「Mynt Denim」の文字を書してなりますところ、1文字目の「M」及び5文字目の「D」の各欧文字が大文字で表示されており、また4文字目の「t」と5文字目の「D」の間には半文字程度の間隔がありますから、本願商標は視覚上「Mynt」の文字と「Denim」の文字の二語に分離して看取することができます。加えて、「Mynt」の文字部分が一般に親しまれた語とは理解し得ない一方、「Denim」の文字が「デニム生地」等の意味に通じ、商品の品質、材質を理解させる語として広く用いられていますことから、本願商標全体より特定の観念が生じるものではなく、観念上からも、本願商標は「Mynt」の文字と「Denim」の文字の二語に分離して看取することができるものと言えます。そして、他に本願商標を常に一体不可分のものとして看取しなければならない特別の理由も見出すことができません。


「Mynt Denim」は、同書、同大、等間隔でまとまりよく一体に表され、無理なく一連に称呼できるから分離して、比較するのは妥当ではないとのことです。「「Mynt」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすというべき事情も見いだせない。」という判断も判例に沿ったものと思われます。


[登録査定の抜粋]

 本願商標は、前記1のとおり、「Mynt Denim」の欧文字を横書きで表してなるものであり、その構成文字は、同じ書体、同じ大きさでまとまりよく一体に表されているものであって、その構成文字全体から生じる「ミントデニム」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

 そして、本願商標は、たとえ、その構成中に半角ほどのスペースを有するとしても、かかる構成及び称呼においては、これに接する取引者、需要者が、殊更「Mynt」の文字部分のみに着目するというより、むしろ、「Mynt Denim」の文字全体をもって一体のものと認識、把握するとみるのが自然である。 

 また、本願商標は、その構成中「Mynt」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすというべき事情も見いだせない。

 そうとすれば、本願商標は、「Mynt Denim」の文字全体が不可分一体のものとして認識されるものといわなければならない。 

 してみれば、本願商標の構成中「Mynt」の文字部分を分離・抽出し、その上で、本願商標と引用商標とが類似するとした原査定の判断は、妥当なものとはいえない。