判例検討:「アジル\Agile」平成 26年 (ワ) 7132号 損害賠償請求事件(5)

商標に関する最近の判例を検討しています。

 

2  争点(2)(損害の不発生の抗弁の成否)について

被告は,本件商標権に係る商標登録の指定商品中,「履物」についての登録が不使用を理由に取り消されたことからすれば,本件商標に顧客吸引力はなく,被告履物の売上げに全く寄与しないことは自明であると主張する。 

しかし,本件商標が履物に使用されていなかったからといって,直ちに本件商標の顧客吸引力が皆無であるとまではいえず,上記1(3)で認定したとおり,本件商標が被服に使用されていたことに鑑みても,本件商標には幾分かの顧客吸引力があり,被告履物の売上げに寄与したものと認めるのが相当である。 

したがって,被告の主張は採用することができない。

 

被告は、登録商標の指定商品「履物」が取消されたから、本件商標に顧客吸引力はなく,被告履物の売上げに全く寄与しないと主張しました。

しかし、裁判所は、被服に使用されていたから,本件商標には幾分かの顧客吸引力があり,被告履物の売上げに寄与したと判断しました。

つまり、裁判では登録商標の指定商品と侵害者の商品とが同一でなくても侵害となる場合があります。