判決研究:醗酵玄米菜食ギャバ(知財高裁 平成 26年 (行ケ) 10180号 審決取消請求事件)

 本件は,商標登録無効審判請求の不成立審決の取消訴訟です。争点は、原告の有する下記引用商標と被告の有する下記本件商標との同一性又は類似性(商標法4条1項11号)の有無です。


被告商標:醗酵玄米菜食ギャバ

商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務:5 玄米又は米ぬかと野菜・大麦若葉又はクロレラを主原料とするサプリメント,その他のサプリメント


原告商標:玄米菜食

商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務:30 米糠と野菜を原材料とする粉末状の加工食品


[当裁判所の判断の抜粋]

 本件商標には、まず語頭に「醗酵」との文字があり、これが「玄米」と強く結び付いているにもかかわらず、この「醗酵」を「玄米」から切り離して「菜食」に結び付けた上、9文字ある本件商標の中央の4文字のみを分離抽出することは、著しく不自然な解釈といえる。そして、「玄米菜食」が、原告の出所を示す商標として周知又は著名なものであることを認めるに足りる証拠もない(甲19~49からは,原告が,引用商標を付した商品について、本件商標登録出願前に13社と取引があったことが判明するだけであり、当該取引者・需要者に対し、引用 商標が周知又は著名であるとは認められない。

 そうであれば、本件商標から, 「玄米菜食」を要部として分離抽出して観察することはできないというべきである。


[私の感想]

 語頭の「醗酵」が「玄米」と強く結びついているから、「玄米」と「菜食」を結びつけるのは不自然との見解は、私には思いつきませんでしたが、納得感はあります。そのため、「玄米菜食」を分離抽出して観察することはできないという判断は妥当と思います。