281.Spapes事件3:弁理士 田口健児

平成28年(行ケ)第10254号 審決取消請求事件

主 文

特許庁が再審2015-950001号事件について平成28年10

月31日にした審決を取り消す。

商標目録

商標登録第5177809号
商標登録第5177809号

事件の経緯

平成24年 2月10日 株式会社Shpes(以下S社)が

            株式会社Shpes International(以下SI社)に本件商標権を

            譲渡して移転登録

平成24年10月17日 S社が本件移転登録の抹消登録手続を求める訴えを提起

平成26年11月28日 小針氏(以下K)が不使用取消審判を請求

平成27年 3月31日 SI社が応答せず、拒絶査定確定

平成27年 5月25日 SI社が同一商標を再出願

平成27年 6月24日 S社が原審決の取消しを求めて,原審決に対し再審を請求

平成28年10月31日 特許庁が再審を却下

特許庁の再審却下理由

1.原審判において被告Shapesが答弁しなかったとしても,この事実をもって被告Shapesと被告Yとの共謀の事実を認めることはできない。

2.被告Shapesは,別件訴訟における裁判所の和解勧告を受けて原告に譲渡する目的で既に取り消された本件商標を再出願したと主張しており,この主張は一応の合理的理由がある

3.不使用取消審判の請求人が当該審決の確定により取り消された商標と同一又は類似の商標を出願するものとは必ずしもいえない

 

したがって,原告が主張する上記の事情を踏まえても,被告Yと被告Shapesとの間に共謀があったものとは認められない。

裁判所の判断

1.原告の主張は,被告らが共謀して原告の利益を害する目的をもって原審決をさせたこと

2.裁判所は,被告らの共謀の存否を明らかにするには,当審においてK氏の本人尋問を行う必要があるとして,本人尋問期日を定した

3.K氏の代理人は,K氏に民訴法208条の不出頭の効果を説明して出頭しないと不利益になる旨を告げて出頭を促したものの,本人からはそのことを承知の上で出頭しないと告げられた

 

裁判所は、K氏が当事者本人の尋問期日に正当な理由なく出頭しなかったから,民訴法208条に基づき,被告らが共謀して本件商標権を害する目的をもって本件商標に係る登録商標を取り消す旨の原審決をさせたという原告の主張を真実と認めた。