大幸薬品「正露丸」パッケージ訴訟の考察:判決のまとめ(1)

控訴人表示
控訴人表示

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(1)   控訴人各表示は,控訴人の商品表示として周知著名なものであるか。

 「正露丸」自体は普通名称である。この理は、「正露丸」のカタカナ表記である「セイロガン」についても同様である。「糖衣」は、製剤の一類型を指称する普通名称であることが認められる。「A」はアルファベットの最初の文字に過ぎず、それ自体では自他商品識別力を認めることはできない。上記のとおり,控訴人表示1及び控訴人表示2「セイロガン」「糖衣」「A」各要素自体については自他商品識別力を認めることはできない

 自他商品識別力は表示の構成のみによって生じるのではなく,取引の実情に応じて獲得されるものであるから,普通名称を本来の意味どおりに使用した場合であっても,使用の態様や取引の実情から自他商品識別力を獲得し得る場合がある

 控訴人表示1及び控訴人表示2は,多年にわたる販売,広告宣伝により,その本来の意味内容を超えて,控訴人商品を指称する表示として周知著名なものとなっていることが認められる。

 

 控訴人表示2は,控訴人の標章であるラッパのマークとは独立して,控訴人商品を示す商品表示としての識別性を獲得しているというべきである。

 

つまり、「「セイロガン糖衣A」という表示は、もともと他の人の商品と区別できない表示だが、大幸薬品が使用することによって、ラッパのマークが付かない文字だけでも区別できる表示となった」と認められています。