審決検討:「CARLISLE」(2012-081816)(商標法3条1項3号「生産地」)

拒絶査定不服審判における審決を検討しましたので、ご紹介します。

 

【商標(検索用)】 CARLISLE 

【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】  

 21 清掃用具および洗濯用具  

 

[拒絶査定の理由の要約]

 審査便覧の規定を踏まえて、本願の指定商品についてみると、本願の指定商品は「清掃用具及び洗濯用具」であるところ、これらの商品は、食料品等の商品と同様に、一般の需要者の日常生活に欠くことのできない、いわゆる生活必需品といえますから、その土地において、人が居住し生活を営んでいる限り、必ず取引される商品とみるのが相当です。

 そして、英国カンブリア州の州都「CARLISLE」は、人口約10万人の都市ですから、該地において、生活必需品が製造、販売されていることは容易に推測し得るものですから、「CARLISLE」の土地において、本願の指定用品が生産され若しくは販売されているであろうと一般に認識されるものといわなければなりません。

 

 つまり、「人口約10万人の都市なので、生活必需品が製造、販売されていることは容易に推測し得るから、「清掃用具及び洗濯用具」が生産され若しくは販売されている。」ので商標は生産地を表すため、自他商品識別力がないという拒絶理由です。

論理が飛躍してませんか・・・

 

[登録審決の要約]

「CARLISLE」の欧文字を、当審において、職権をもって調査すると、該文字は、「外国地名レファレンス事典」(日外アソシエーツ株式会社)によれば、「(1)米国の町村名。ペンシルベニア州中南部。」、「(2)イギリスの都市名。カンブリア州州都。」、「(3)米国の山岳名。アラスカ州,アリューシャン列島カーライル島。」、また、「ランダムハウス英和大辞典第2版特装版」(小学館)によれば、「1 米国の政治家(民主党);下院議長。」、「2 イングランド北西部;Cumbria州北部の都市で州都。」、「3 曲がりの部分の狭い釣り針。」といった複数の意味を有している。

 また、「CARLISLE(Carlisle)」とよばれている地名は、別掲のとおり、アメリカ合衆国、カナダ国、オーストラリア国に、各州の「市」の名称として多数存在している事実がある。

 さらに、「CARLISLE」の名称が、著名な地理的名称として、一般に知られている事実はない。

 そうすると、本願商標から、原審説示のような特定の地名を表示するものとして、取引者、需要者に認識されるとは言い難いものである。

 

 つまり、「CARLISLE」は、(1)複数の意味を有し、(2)「市」の名称として多数存在し、(3)著名な地理的名称ではないから、特定の地名を表示するものとして需要者に認識されるとは言い難いということです。

 適切な審決だと思いました。