審決検討:「KIZUNAcafe」( 2013-024200)(4条1項11号「結合商標」)

 指定役務「飲食物の提供」について「cafe」は、自他商品識別機能が弱いから、「KIZUNA」部分が自他商品識別機能を有し、引用商標「きずな」に類似するというものです。審査基準に沿った極めてオーソドックスな拒絶理由だと思います。

 また、1年位前の審決で流行っていた「凌駕」という観念についても、否定しています。


【拒絶査定の理由の抜粋】

 そして、後半の「cafe」の文字部分は、「カフェ【cafe フランス】(コーヒーの意) 主としてコーヒーその他の飲料を供する店。日本では幕末の横浜に始まり、東京では1888年(明治21)上野で開店した可否カッヒー茶館が最初。珈琲店。喫茶店。(広辞苑第六版)」の意味を有する語であり、本願指定役務中、「飲食物の提供」との関係においては、「カフェにおける飲食物の提供」であること等、役務の提供場所あるいは提供する役務の質(業種)を表示した文字部分であって、自他役務の識別標識としての機能は、極めて弱いか、若しくは果たし得ないものといえることから、本願商標は、その構成中「KIZUNA」の文字部分が、独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものです。 そうとすれば、本願商標は、「KIZUNA」の文字部分に相応して、単に「キズナ」の称呼をも生ずるものであり、また、特定の親しまれている意味合いを直ちに想起させるとはいえないものです。

 他方、文字の両側にカギ括弧を配した”「きずな」” の構成よりなる引用商標からは、その構成文字に相応して「キズナ」の称呼を生ずること明らかであり、また、特定の親しまれている意味合いを直ちに想起させるとはいえないものです。

 そうとすれば、本願商標と引用商標とは、観念において比較し得えず、外観において相違するとしても、これらが「キズナ」の称呼を同じくする称呼上類似の商標と認められることを凌駕するものとはいい難く、かつ、その指定役務も同一又は類似するものです。


 「CAFE」等の語が喫茶店等の店名を表示する際の接尾語として、「○○CAFE」の如く、普通に使用されている実情を考慮すると、その構成文字全体をもって一体不可分の造語を表したものと認識、把握されるものとみるのが自然です。そのため、本願商標は、「キズナカフェ」の称呼のみ生じ、引用商標とは非類似というものです。

審査基準ではなく、取引実態に基づいた審決だと思いました。


【登録審決の抜粋】

 本願商標は、「KIZUNAcafe」の欧文字からなるところ、その構成文字は、「KIZUNA」の文字と「cafe」の文字とが結合されたものであるとしても、同書、同大、等間隔で、まとまりよく一体に表されているものであり、また、該「cafe」の文字が、「喫茶店」の意味合いを有する語であるとしても、例えば、「CAFE」や「カフェ」等の語が珈琲店や喫茶店等の店名を表示する際の接尾語として、「○○CAFE」や「○○カフェ」の如く、普通に使用されている実情を考慮すると、その構成文字全体をもって一体不可分の造語を表したものと認識、把握されるものとみるのが自然である。

 してみれば、本願商標は、その構成文字に相応して「キズナカフェ」の称呼のみを生じるものである。