審決検討:「MARKETINGCLOUD」(2012-050761)(3条1項3号,4条1項16号「結合商標」)

 審査官は、「MARKETINGCLOUD」は造語ではなく、「MARKETING」及び「CLOUD」の文字部分に分離して判断し、全体として「クラウドコンピューティングを利用したマーケティング(商業活動)に関するサポート・ソリューションサービス」を意味するから単に役務の質(内容)を普通に用いられる方法で表示したにすぎないとして拒絶しました。


【拒絶査定の理由の抜粋】

 本願の指定役務の分野において「MARKETINGCLOUD」の文字を使用した場合、これに接した取引者・需要者は、構成全体として一語の造語と認識するよりは、むしろ「MARKETING」及び「CLOUD」の文字部分に分離して判断し、全体として「クラウドコンピューティングを利用したマーケティング(商業活動)に関するサポート・ソリューションサービス」を意味するものと容易に理解・認識するというが相当です。


 審判官は、「MARKETINGCLOUD」は造語であるため、その指定役務について使用しても、役務の質を表したものとはいえず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、役務の質の誤認を生ずるおそれはないと審決を下しました。


 判断が難しいところですが、「MARKETING」と「CLOUD」が分離されずに一連で表されているため、審判官の判断の方が正しいように思えます。


【登録査定の抜粋】

 本願商標は、その構成中の「MARKETING」の文字部分が「商品の販売やサービスなどを促進するための活動。市場活動」の意味を有する語であり、「CLOUD」の文字が「インターネットを経由して、ソフトウエア、ハードウエア、データベース、サーバーなどの各種リソースを利用するサービスの総称。」(デジタル大辞泉)を意味する「CLOUD COMPUTING(クラウドコンピューティング)」の略称として使用されているとしても、需要者をして、該「MARKETINGCLOUD」の文字がその指定役務の特定の質を直接的、かつ具体的に表したものとして認識されるとはいい難く、また、原審で示した使用例があるとしても、当審において、職権をもって調査するも、「MARKETING CLOUD(マーケティングクラウド)」等の文字がその指定役務を取り扱う業界において、原審説示の特定の意味合いを表すものとして、また、特定の役務の質を表示するものとして、普通に用いられている事実を発見することができなかった。

 してみれば、本願商標は、その指定役務について使用しても、役務の質を表したものとはいえず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、かつ、役務の質の誤認を生ずるおそれはないというべきである。