判例検討:「アジル\Agile」平成 26年 (ワ) 7132号 損害賠償請求事件(6)

商標に関する最近の判例を検討しています。


3  争点(3)(損害額)について 

前記前提事実(4)記載のとおり,平成24年8月から平成25年9月26日(本件予告登録日)までの間に販売された被告履物の売上高は,1億9327万6200円である。 


原告は,商標法38条3項に基づく損害を算定するに当たって基礎となる本件商標の使用料率につき,売上高の5%が相当であると主張する。


しかし,本件商標が平成25年9月26日から遡って3年間,「履物」に使用されていなかったことからすれば,本件商標の顧客吸引力は必ずしも高いものとはいえず,また,本件商標と被告各標章の称呼は同一であるものの,被告各標章から「アジル」以外の称呼も生じ得ること,並びに平成21年度の調査における被服及び履物に係る商標の正味販売高に対する使用料率の最小値が0.5%であったことにも鑑みれば,本件商標の被告履物の売上高に対する適正な使用料率は0.3%と認めるのが相当である。 


以上によれば,被告が被告各標章を付した被告履物を販売したことによる原告の商標法38条3項の損害は,上記売上高に上記使用料率0.3%を乗じて算定され,57万9828円となる。加えて,本件商標権の侵害と相当因果関係のある弁護士費用として5万7000円を相当と認める。


商標権者が、登録商標を「履物」に使用していなかったのだから、使用料率の最小値0.5% より下の0.3%と認定しました。使用していなかったので妥当と思えます。

その結果、損害額は57万9828円となりました。

それに伴い弁護士費用も5万7000円と認定されましたが、やはり弁護士費用は損害額の10%なんですね。

しかし、5万7000円だと骨折り損のくたびれ儲けでは・・・

原告は、もっと支払うのでしょうか、それとも、被告から得た5万7000円払って終わりでしょうか。