被告は,法53条1項ただし書の「当該商標権者がその事実を知らなかった
場合において,相当な注意をしていた」といえるか。
被告は,本件商標権から引用商標権が分割され,「履物(サンダル等を除く)」と,「サンダル等」という類似する指定商品について同一の商標に係る商標権が異なる権利者に移転され,サンダル等以外の履物についての商標権者である原告が,引用商標と同一又は類似する商標を付したタウン・シューズを当時既に販売していたことは認識していたのであり(弁論の全趣旨),そうである以上,被告は,使用権者に新たに本件商標を使用させるに当たっては,原告の商品の周知の程度や原告の商品における引用商標の具体的な使用態様を確認し,使用権者商標の具体的な使用態様が,原告の業務に係る商品との具体的な混同を生ずるおそれがないかどうかについて注意をする義務を負っていたというべきである。
そうすると,仮に被告が当時,具体的に原告商品自体を認識していなかったため,使用権者商標の具体的な使用態様が,原告の業務に係る商品における原告使用商標の使用態様と酷似し,同商品との混同を生ずるおそれがあることを知らなかったとしても,被告は,そのような混同が生じるおそれがあることを知るための相当の注意を欠いていたというべきである。
そもそも本件商標権から引用商標権が分割され、「履物(サンダル等を除く)」と,「サンダル等」という類似する指定商品について同一の商標に係る商標権が異なる権利者に移転されたのだから、具体的な混同を生ずるおそれがないかどうかについて注意をする義務を負っていました。
だから、被告が当時,具体的に原告商品自体知らなかったため,使用権者商標が,原告使用商標の使用態様と酷似し,同商品との混同を生ずるおそれがあることを知らなかったとしても,そのことを知るための相当の注意を欠いていたというべきとのことです。
そして、本件商標権は取消されました。