審決検討:ゲンコツコロッケ(2014-020908)4条1項11




「拒絶査定の理由」

本願商標は、「ゲンコツコロッケ」の文字を筆書き風に表してなるところ、その構成中「コロッケ」の文字部分は、本願の指定商品中「コロッケ,コロッケを主材とする惣菜」との関係においては、商品そのものを指称するものであるか、原材料を理解させるにすぎないものですので、自他商品の識別標識として機能する部分とはいえず、商品の出所識別標識としての称呼、観念を生じないものといえます。

 そうしますと、本願商標は、上記指定商品との関係においては、「ゲンコツ」の文字部分のみをもって取引に資されるものであり、これより「ゲンコツ」の称呼及び「にぎりこぶし」(「広辞苑 第六版」株式会社岩波書店)の観念をも生じます。

 

審査官は、本願商標は指定商品「コロッケ」について、識別力がないから、「ゲンコツ」部分のみで取引される。そのため、引用商標「ゲンコツ」と類似すると判断しました。

 

「登録審決の理由」

本願商標の構成中の「ゲンコツ」の文字は、「げんこつのような形(又は大きさ)」として、形状を暗示させる場合があることは否定できないことから、「ゲンコツ」の文字部分は、識別力がないとまではいえないが、自他商品の識別標識として強力に機能するともいえないものである。

そうすると、本願商標は、「ゲンコツ」の文字部分が独立して自他商品の識別標識として機能するというよりも、その構成文字全体をもって、取引に資するものというのが相当である。

したがって、本願商標は、その構成文字全体で、一種の造語を表したものと認識、把握されるとみるのが自然であるから、その構成文字に相応して、「ゲンコツコロッケ」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものといえる。

 

審判官は、「げんこつのような形」のコロッケについて、「ゲンコツ」の文字にも識別力がないから、独立して取引されず、「ゲンコツコロッケ」全体として取引されるとして、拒絶査定を取消しました。

 

私は、「げんこつのような形」というのは、すぐにイメージできないうえ、それ以外の形状のコロッケも指定商品に含まれるため、「げんこつ」部分に識別力があると思います。