審決検討:Prime(2012-23934)4条1項11号

     引用商標
     引用商標

「拒絶査定の理由」

引用商標構成中、「Prime」の欧文字は圧倒的に顕著に表されている一方で、「PIAGGIO」の欧文字は、「Prime」の欧文字に比べて極めて小さく表されていることから、引用商標に接する取引者又は需要者は、「Prime」の文字部分について、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を受けるものと判断できます。


下線部の左側に、「PIAGGIO」と白抜きされています。審査官は、両方の文字の大きさによって、出所識別機能は、「Prime」にあるとして、本願商標と比較し、類似と判断しました。


「登録審決の理由」

 引用商標の構成中の「PIAGGIO」の文字部分は、その商標権者がイタリアのポンテデーラに所在するオートバイ及び自動車のメーカー「PIAGGIO & C. S.p.A.」(以下「ピアッジオ社」という。)であって、オートバイ産業では欧州で最大手の一つであり、その製造に係る商品が日本にも輸入されていることを考慮すれば、該文字が引用商標に係る指定役務を提供する業界において、ピアッジオ社のハウスマークを想起させるものであるといえる。

 同じく、「Prime」の文字部分は、該語が英語において「最も重要なさま。」の意味を有するほか、「最良の。最上のもの。」の意味を有し、一般的に、後者の意味においても広く知られていることを考慮すると、自他役務の識別標識としての機能がさほど強いとはいい難いものである。

 これらの点を踏まえると、引用商標は、その構成中の「Prime」の文字部分が顕著に大きく表されているとしても、これに接する取引者、需要者をして、当該部分を抽出し、この部分から生じる称呼、観念のみをもって取引に資されることはないとみるのが相当である。


審判官は、引用商標は「PIAGGIO」は著名であり、「Prime」は識別力が弱いから、「Prime」だけが抽出されることはなく、「プライムピアッジオ」又は「ピアッジオプライム」として一連で称呼される。よって、両商標は非類似と判断しました。