審決検討:宝石(2013-10690)4条1項11号








「拒絶査定の理由」

 引用登録第4301698号商標は、「お酒の宝石」の文字を書してなるところ、構成中の「お酒の」の文字は、「アルコール分を含み、飲むと酔う飲料の総称」の意味を丁寧に表したものであり、指定商品との関係において自他商品識別力を有するものとはいえないものであるから、独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得る「宝石」の文字部分に着目して、これより生ずる称呼をもって取引にあたることも決して少なくないものと見るのが相当です。(中略)

 してみれば、本願商標と引用商標とは「ホウセキ」の称呼及び「質硬く色沢美しく屈折率大で、かつ産出少なく、装飾品として用いるもの。ダイヤモンド・玉髄・翡翠ひすい・エメラルド・サファイア・ルビー・オパールなど。」の観念を同じくする類似の商標であるものと認めます。また、指定商品も同一又は類似のものです。

 

 審査官は、引用商標の「お酒」部分には指定商品に対して識別力がないから、本願商標と「宝石」部分だけを比較して、両商標は類似と判断しました。

 

「登録査定の理由」

 引用商標は、前記2のとおり、「お酒の宝石」の文字を横書きしてなるものであり、その構成は、5文字という比較的短いものであり、同書体、同じ大きさで等間隔をもって表されており、視覚上も一体的に把握できるものである。(中略)

 してみれば、本願商標と引用商標とは、その外観、称呼、観念のいずれの点においても類似する商標ということはできないから、引用商標から「ホウセキ」の称呼及び「宝石」の観念が生ずるとし、その上で、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。

 

 審判官は、引用商標「お酒の宝石」は一種の造語だから、本願商標「宝石」と比較して、その外観、称呼、観念のいずれの点においても類似する商標ということはできないとして、両商標は非類似と判断しました。

 

 私の考えは、指定商品との関係で「お酒の」部分には識別力がないとした審査官の判断に近いです。