審決検討:おもてなしトイレ(2014-004414)4条1項11号

登録番号:第5789896号

出願番号:商願2014-4414

商標:おもてなしトイレ

区分:11

権利者:TOTO株式会社


 審査官は、「トイレ」の文字は、「便器」を指すため指定商品「便器」について単に商品の品質を表すので、識別力がある部分は「おもてなし」の文字部分にあるゆえ、引用商標「おもてなし」と類似するとして拒絶査定しました。

 審判官は、この商標は視覚上一体的に表されているものであり、また、その構成文字全体から生ずる「オモテナシトイレ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るため、構成全体として、「おもてなしの心を感じる清潔で快適なトイレ」ほどの一体の意味合いを暗示させるので、構成全体をもって一体不可分のものと把握、認識され、取引に資されるとして引用商標と類似しないとして登録審決としました。

 私は、審査官の判断に同意します。なぜなら、やはり指定商品「便器」について「トイレ」の文字は識別力がなく、識別力がある部分は「おもてなし」と思うからです。


「拒絶査定の理由」

 本願商標は、「おもてなしトイレ」の文字を標準文字で表示してなりますところ、その構成中の「トイレ」の文字は、本願指定商品を取り扱う業界において「トイレットルーム」(出典:[株式会社岩波書店 広辞苑第六版])の意味から転じて「便器」を指す語としても用いられていますから(下記インターネット記事を参照してください。)、本願商標をその指定商品「便器」に使用するときには、構成中の「トイレ」の文字部分が単に商品の品質(内容)を表示するにすぎないものであり、本願商標において自他商品の識別標識としての機能を果たす部分は、構成前半部分の「おもてなし」の文字部分にあるものと判断するのが相当です。

 したがって、本願商標は、「おもてなし」の文字に相応して「オモテナシ」(ご馳走)の称呼・観念をも生じるものです。

 他方、引用商標1は、「おもてなし」の文字を書してなりますから、当該文字に相応して「オモテナシ」(ご馳走)の称呼・観念が生じるものです。

 そうしますと、本願商標と引用商標1とは、「オモテナシ」の称呼及び「ご馳走」の観念を共通にする類似の商標であって、指定商品(指定役務)についても、本願商標の指定商品中の「便器」と引用商標1の指定役務中の「便器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」とは、商品の販売場所と役務の提供場所、及び需要者の範囲等を同じくする類似の商品・役務と言えますから、本願商標をその指定商品に使用するときには、引用商標1と役務の出所において誤認混同を生じさせるおそれがあるものと言えます。


「登録審決の理由」

 その構成は、視覚上一体的に表されているものであり、また、その構成文字全体から生ずる「オモテナシトイレ」の称呼も無理なく一連に称呼し得るものである。

 そして、本願商標の構成中の「おもてなし」の文字は、心のこもった待遇やサービスを表す語として広く使用されるものであって、施設及び住居に関する設計やデザインにおいても、より清潔で居心地の良い快適な空間の提供をうたう際に使用されている。

 また、その構成中の「トイレ」の文字についても一般に使用されている語であることからすると、本願商標は、構成全体として、「おもてなしの心を感じる清潔で快適なトイレ」ほどの一体の意味合いを暗示させるものであるといえる。

 してみれば、本願商標は、構成全体をもって一体不可分のものと把握、認識され、取引に資されるものというのが相当である。