34.商標審決研究:「KaSaI」(2015-024733)

 

 

 

本願商標:「KaSaI」

拒絶理由:3条1項3号、3条1項4号

 本願商標は、兵庫県南部の地名である「加西」又は、東京都江戸川区南部の地名である「葛西」を欧文字表記したものと看取させる「KaSaI」の文字を書してなるものであるから、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにすぎない。したがって、商標法第3条第1項第3号に該当する。

 本願商標は、ありふれた氏である「葛西」、「笠井」又は「河西」を欧文字表記したものと看取させる「KaSaI」の文字を書してなるものであるから、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示したものと理解するというのが相当である。したがって、商標法第3条第1項第4号に該当する。

 

審判官は、

「本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、「KaSaI」の欧文字を元に図案化してなるものであるところ、その構成文字は、太く丸みを帯びた文字で若干右に傾斜した態様からなるものであって、大文字と小文字を同じ縦の長さをもって表し、それらを等間隔で外観上まとまりよく一体的に表されている点に特徴を有するものであるから、普通に用いられる方法を脱する程度にまで創造された特徴ある書体からなる商標として認識、理解されるというのが相当である。」

として、登録査定としました。

 

 審査官の「人名であり、地名である」という趣旨の拒絶理由は、つまり、「人名とも地名とも特定できない」ということなので、特定できない名称を理由に拒絶理由とすることはおかしいと思いました。

 

 また、審判官の「普通に用いられる方法を脱する程度にまで創造された特徴ある書体からなる商標」という判断については、そこまでは特徴あるとは思えないと感じました。