379.農口(令和2(行ケ)10050):弁理士田口健児

本件商標:農口

取消理由:51条1項

引用商標:農口尚彦研究所

 

裁判官は、一番大きな理由として、

「日本酒愛好家の間では,25 相当程度認識されていたものと認められるものの,一般消費者の間で広く認識されていたものと認めることはできず」

として、棄却しました。

 

類否判断について言えば、

「引用商標が日本酒に使用された場合,引用商標の構成中の「農口尚彦」の文字部分が,取引者,需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものとは認められない。また,「研究所」の語は,研究がされる場を意味する普通名詞であるが,日本酒の分野においてありふれたものであるとはいえず,引用商標の構成中の「研究所」の文字部分に出所識別標識としての称呼又は観念が生じないということもできない。したがって,引用商標から「農口尚彦」の文字部分を要部として抽出することはできない」

として、非類似と判示されました。

 

不正使用取消審判が知財高裁に上がるのは、珍しいです。

引用商標の周知性については、判示のとおりだと思います。

 

引用商標との類否判断についても、判示内容は適切な判断だと思います。

被告の使用商標
被告の使用商標
引用商標
引用商標